当院症例集 義歯用ミニインプラント編

もう歳だからとか、費用(60万)がかかるからと思われている方はやる必要はありません。不都合かもしれませんが、従来の保険の入れ歯で十分だと思います。毎日のことですが、価値観の問題です。お金を持ってあの世にはいけません。(笑)。どれだけ、上手な先生が素晴らしい総入れ歯を作ろうとも、この義歯用ミニインプラント4本に勝るものはありません。断言します。次の日から入れ歯の痛みから解放される場合がほとんどです。下に提示した症例も既に7年以上経過していますが、何不自由なく食事ができるとのことです。仮に10年で60万としても、1日に換算すれば、約160円ですか?(まあ、検診費は別ですが。)毎日歯科医院に入れ歯の調整に行ったり、何個も無駄に保険外の金属の入れ歯やゴムの入れ歯を作るほうが余程費用がかかることを十分に理解したほうがいいと思います。賢者は未来を見、、愚者は目先のことしか考えません。ただ、その違いだけです。因みに私は、200本以上埋入していますが、今のところ5年未満の脱落はゼロです。なぜなら、安易に行うことなく、患者を選択し、診査診断、定期検診をキチンと行っているからだと思います。尚、診察なしでの電話での問い合わせには応じていませんのでご了承ください。
以下に4ヶ月に一度必ず定期検診を遵守されている方の臨床症例を提示します。


症例4 ミニインプラント      58歳女性 治療期間3ヶ月

術前
(レントゲン写真)
     
     
       
術後
(レントゲン写真)
術後
(断層写真)
最終義歯装着後
(口腔内写真)
ミニインプラント埋入後
(下顎口腔内写真)
       
最終下顎義歯・裏側 最終上顎義歯・裏側 最終下顎義歯・表側 最終上顎義歯・表側
4年半後
8年後のレントゲン写真
10年後のデンタルレントゲン
写真
10年後口腔内写真
10年後義歯装着時の正面観

 10年後の感想ー筍が食べれるようになりたいという希望を叶えるために採用した2例目の義歯用ミニインプラントです。2006年1月に施術した初のノンフラップ下での症例でした。当時、海ののものとも山のものとも分からない治療法だとは感じていましたが、ある先生の類似性のあるインプラントの予後の良い成功例をHPや雑誌で目の当たりにして、思い腰をあげた経緯があります。幸い問題なく10年経過することができました。しかし、簡単にみえるこのインプラントを確実に行える歯科医は、少ないのではないかと思っています。誰も10年症例出しませんし、個人輸入でしか購入できなくなってしまい、あまり浸透していない治療法だということが物語っているかもしれません。


症例4 ミニインプラント      58歳女性 治療期間3ヶ月

術前  ≪術前≫
レントゲン写真
 
術後
術直後パノラマ
レントゲン写真
   最終義歯装着後
(口腔内写真)
ミニインプラント埋入後
下顎口腔内写真
   最終義歯裏側
最終義歯表側
   
術後8年
8年後パノラマ
レントゲン写真
8年後口腔内
写真
 
 
術後10年
10年後デンタル
レントゲン写真
10年後口腔内写真
10年後義歯装着時口腔内写真

10年後の感想ー事前に当時提携していた病院でCTを撮影してもらい、2006年2月にフラップ下で骨を均し、4本セルフタップで埋入する予定でしたが、左下の骨質が固く、埋入時に1本インプラントをハセツさせてしまいました。初めての経験で若干動揺しましたが、ものは考えようで、骨折で使用するチタンプレートと同じ材質なので、歯茎の下に埋まってしまえば問題が出る可能性はないと瞬時に判断しました。除去しようとすると、骨を大量に失い予期せぬ偶発症を招くリスクの方が高いと思います。径の細いインプラント撤去の難点です。実際は、1ヶ月後歯茎の傷が癒えてから、もう1本フラップレスで埋入し、義歯内にハウジングを4本組み込み、義歯を使用していただくことにしました。幸い、10年問題なく経過しています。埋入時ハセツしたインプラントも感染を引き起こすことなく、歯茎下の骨の中に埋まっています。実は、高齢で管理が大変なのでインプラントを除去したいという場合、歯茎より低めで、歯科用ドリルで突出部分を除去すれば、スリーピング状態でチタンの芯棒が骨の中に残るだけということも応用の考えです。勿論、患者さんには1本折れたことは説明してありますが、何の不安も訴えていません。しかしながら、チタン製でない骨切削ドリル等が骨内でハセツした場合、除去する必要はあります。この場合、マイクロ、ピエゾ、超音波機器をもっている先生は有利に事が進むでしょう。


症例4 ミニインプラント      58歳女性 治療期間3ヶ月

術前
       
       
術後
       
4年後
7年後
9年後
右下1部 右下3部
左下1部 左下3部

 9年後の感想ー最期に美味しい肉が食べたいという希望を叶えるために、当時多少のリスクを背負って行いました。CTから骨が尖っていることが把握できたため、歯茎を開き骨を均さなければ、100パーセント失敗するケースと言えます。幸い外科的な処置1ヶ月後に義歯にインプラントがはまり込むようにハウジングを組み込み、患者さんの希望を叶えることができました。あれから9年が経過しますが、問題なくインプラントは機能しています。この度、プラスチックの義歯がハセツしたため、金属で補強された新しい義歯を作製しました。そろそろ90歳を迎えられますが、1日でも長く口からの摂食をしてほしいものです。良いお金の使い方をしたのではないでしょうかね。勿論、世の中にはインプラントを使用せず、プラスチックの義歯だけで、肉や軟骨を食べれるようにできる名医もいるかもしれませんが、少なくとも今の私には作製は無理だと明言しておきましょう。しかし、お金のために無意味なノンクラスプ義歯やわけのわからないゴムの義歯をいいと思って薦めている歯科医よりは百倍ましだとは思っています。最後に、この症例は本当であれば義歯用ミニインプラントの適応外だと今なら考えます。上に残存歯が揃っているからです。しかし、幸い残存歯の負担能力が低くく咬合力がさほど強くないと推測できるため、径の細いインプラントのハセツもなく無事に経過しているのだと思います。あと、上顎にこの手のインプラントを使用する先生もいますが、恐らくいい結果は招いていないでしょうね。私は上顎で使用した経験はいまのところありません。


症例4 下顎義歯用ミニインプラント(歯茎を開かず、埋入例)
        70代女性


術前
術後8年
8年後の感想ー下の義歯が動いて痛くてものが噛めず、また顎が痺れた感じもするとのことを解消すべく目的で行った、かなりリスクを伴う症例だったと思います。
幸い、この方何事もなかったように現在も新製することなく義歯を使用されています。喉元過ぎればなんとやらで、術者の苦悩も露知らずです。土手のない平坦な部位の場合、セルフタップインプラント埋入は比較的簡単ですが、付着歯肉を考慮して行わなければならないこと、前歯部顎骨内に分布している動脈叢の解剖学的位置や骨質の把握をしておく必要があるなどいろいろと考えないといけないことが多いので、本当大変だと当時も今も思います。そのため、1日でも長く使用していただきたいと切に願っています。