2009年2月 今月の症例集

2009.2.7

上顎インプラント6本によるフルブリッジ上部構造装着
60代男性
≪治療経過≫昨年の7月にインプラントを8本(上6本、下2本)埋入し、ようやく最終的なうわもの(上部構造)がはいることになります。仮歯で3ヶ月ほど経過観察を行っていましたが、3回ほどこわれ修理するのに四苦八苦しました。仮歯は、最終的なうわものを作製するのにおいて非常に重要な役割をはたします。審美性(形態、色)、清掃性(歯ブラシしやすいかどうか)、機能性(顎関節に負担がかからず、十分に咀嚼できるかどうか)、永続性(咬合力、歯軋り、噛み締めによる破損の恐れがあるかどうか)などを十分に観察するために必要不可欠なものです。今回の場合三回も仮歯が破損を繰り返したため、かみ合わせの面は金属にし、見える面(頬側)はセラミックスで最終的なうわものを作製し、スクリューで固定しました。よく、審美性を重視し、奥歯のかみ合わせの面もセラミックスで作製してある症例をみかけますが、5年後、10年後の無傷の状態をほとんど見たことがありません。7番目の歯(第二大臼歯)に関しては、私見ですがかみ合わせの面をセラミックスにするのはよくないと思います。マウスピースを常時していれば、問題ないのかもしれませんが、一般的に常時装着は無理だと思います。今回の場合、患者さんは見た目よりも永続性のほうに重きをおいていたので、チタン合金(強い)の出来るだけ長く太いHAインプラントの使用とかみ合わせの面の金属の使用を最初から考慮にいれて、治療計画をたてていました。一般的には、この方は骨がたくさん存在し、インプラントの埋入が簡単に思えるでしょう。しかし、歯槽膿漏で歯を失ったのではなく、虫歯傾向もしくは食いしばりで歯を失った可能性が高いことを予測しておかないと、術者も患者さんもこんなはずではなかったという結果に陥る場合があります。最近はやりの即時負荷です。今回の場合埋入トルク値は35ニュートンをこえていましたので、やろうと思えば即時負荷は理論上行うことはできたわけです。しかし、くいしばりや歯軋りといった習癖の存在はわかりませんでしたので埋入1ヶ月以内に仮歯がこわれていたとおもいます。そうなれば即時負荷は失敗していたということになります。私見ですが、下に歯がほとんど存在し、上に歯が1本も存在せずかつ骨長、幅が存在するときの即時負荷は注意をようすると思います。残っている歯の磨耗、骨隆起の存在、入れ歯の磨耗などである程度は習癖を予測できますが、完全に事前に把握することは難しいといわざるをえません。10年で物事を考えたとき、2ヶ月、3ヶ月というスリープの期間は、ないに等しいと思いますので、より確実性をもとめるのであれば、個人的には上顎の即時負荷はできるだけさけたいと考えています。
≪上部構造セット前≫
≪模型上≫
≪口腔内セット後≫
≪セット後のレントゲン≫




2009.2.17

左下6番抜歯即時インプラント
60代女性
≪治療経過≫左下の6歳臼歯の被せ物がとれたのでなんとかしてほしいとのことで当医院を受診されました。レントゲン上ではわかりにくいかもしれませんが、頬舌方向に歯がハセツして、虫歯でぐちゃぐちゃな状態でした。いろいろな治療法を説明しましたが、3年前に施術した左上のインプラントが調子がいいので、今回もインプラント治療をのぞまれました。できるだけ1回の手術で行って欲しいとの事で、根っこが感染していないため、特別な方法を採用しました。通常であれば、歯を抜歯し骨造成を行ってからインプラントを埋入するか、抜歯穴が治癒してからインプラントを埋入するかのどちらかになります。その場合、2回外科処置が必要になること、期間がかかることが欠点になります。今回は、ピエゾを使用し歯を慎重に抜歯、ソウハ後、手前の根と奥の根の間の骨にドリルを使用せず、スプリットコントロールにてインプラントの穴を形成しそこに1回法でHAインプラントを埋入しました。十分な初期固定を得ることができました。ギャップ(隙間)には吸収の速いβーTCPを補テンしその上に血餅の保持のためにコラーゲンをのせ開放創でナートし終了としました。骨伝導能のあるHAインプラントだからこそできるテクニックだと思います。来週はいよいよ、サージガイドで傾斜埋入に最適な老舗のあのエクスターナルインプラントの進化型を使用します。フラップレス、グラフトレスのALL ON 7です。歴史の重みとコストの重み(笑い)を感じたいと思います。
FOR PATIENT!
術前
術中
術後

2009.2.28

サージガイドセーフシステムによる上顎インプラント7本埋入
60代女性
≪治療経過≫昨年の10月にご主人の紹介で受診された方です。ご主人は昨年当医院でインプラント治療をされ非常に調子がよく、奥様の方は上の歯がふらふらで物を十分に咬むことができないので、なんとかして欲しいと切望されました。奥様は、怖がりでできれば1回の手術でインプラントを行ってほしいといわれましたので、歯茎をひらかずかつ骨の移植もせずにピンポイントで骨のあるところにインプラントを埋入することのできるサージガイドを使用することを提案しました。費用がかかることにも同意されましたので、抜歯3ヵ月後に0,5ミリスライス断層のできる病院でCTを撮影してもらいました。今回は、骨移植、サイナスリフトをおこなわないため、インプラントを斜めに傾斜させて長く埋入する必要があります。そのため、この患者さんのためだけに、30度の補正がきくノーベルのブローネマルクインプラントを採用することにしました。後日ブローネマルクインプラントを使用したシュミレーションを解析ソフトで行い、そのデーターを元にサージガイドテンプレートをベルギーで作製してもらいます。約3週間後できてきたテンプレートを口のなかにかりはめしてみてがたつきがないか確かめます。問題がなかったため、2日後に局所麻酔下で、アンカーピンで3箇所サージガイドを口の中に固定し、ドリル穴にそって7箇所ドリリングをし、短時間で7本インプラントを埋入しました。次の日、患者さんははれることもなく、痛みを訴えることもなく、非常によろこばれていました。自分も非常に結果に満足していますが、ブラインドで行う手術は、しっかりとした分析、不測のときに備えての外科手技は必要不可欠だと改めて思います。しかし、従来の方法に比べ、正確に使いこなせば患者さんの肉体的な負担、精神的な負担、経済的な負担はかなり軽減されることも認めざるをえません。
初診時
上顎の歯
抜歯三ヵ月後
インプラント埋入
の為のCT解析
サージガイド
インプラント埋入後
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